今回は、進撃の巨人に登場する“巨人”について徹底解説していきたいと思います。
おさらいしておくと、本作は”巨人”と呼ばれる巨大な怪物と人類の戦いを描いた作品です。
人類は「ウォール・マリア」「ウォール・ローゼ」「ウォール・シーナ」という三重の巨大な壁を築き、外界から隔絶された世界で暮らすことで巨人の脅威から逃れていました。
しかし既知の巨人よりも遥かに大きな「超大型巨人」の出現により壁の一部が破壊され、人類と巨人の戦いが激化していく…というところから物語がスタートします。
このように第1話からずっと謎のままだった”巨人”の正体ですが、原作21巻にてついに明かされました。
そこで今回は、明かされた”巨人”の謎や正体についてまとめていきたいと思います!
巨人の正体は”ユミルの民”と呼ばれる人間
単刀直入に言えば、巨人の正体は人間です。
正確には”ユミルの民“と呼ばれる人種が、特殊な薬品を投与されることで巨人と化します。
壁外を彷徨っている恐ろしい巨人たちは、一人残らず”元人間”だったということになります。
しかもユミルの民は、エレンたちと同一の人種でもあります。
ユミルの民とは、最初に巨人の力を得たとされる始祖”ユミル・フリッツ”の子孫のことをいい、エレンたち壁中人類の大多数がユミルの民にあたります。
皮肉なことに、これまで調査兵団が戦ってきたのは”怪物”であると同時に”同族”でもあったわけですね。
気になるのが、ユミルの民は1700年に渡って他民族に子供を産ませて民族浄化を行ったという言い伝え。
それだけ長期間にわたって民族浄化を行ったなら、ユミルの民の血がまったく混ざっていない人類なんて残っているのか疑問です。
少なくとも、エルディア帝国と近しい関係にあったマーレの人々には間違いなくユミルの民の血が混ざっているでしょうね。
どの程度ユミルの民の血が濃ければ巨人化できるのか…という情報は今のところ出てきていませんが、もし先祖に一人でもユミルの民がいれば巨人化できるのだとしたら、マーレをはじめとした他国の人々にも巨人化の力が宿っている可能性はあるでしょう。
ユミルの民って一体何者なの?
1800年以上前、ユミル・フリッツという名の少女がいました。
彼女は大地の悪魔と契約することで巨人の力を手に入れ、「エルディア帝国」という国を立ち上げます。
このことからユミル・フリッツの子孫は”ユミルの民”と呼ばれるようになりました。また、ユミルの民を“エルディア人”と呼ぶこともあります。
ユミル・フリッツは巨人の力を使って荒れ地を耕し、道を造り、橋を架け、エルディア帝国を豊かな国にしました。
もともと巨人の力を使えるのはユミル・フリッツだけでしたが、彼女が死亡すると巨人の力は九つに分かれ、彼女の子孫に受け継がれました。
これが、ユミルの民だけが巨人に変身できる理由です。姿は人間でも、巨人の力を先祖代々受け継いできたわけですね。
ユミル・フリッツが築き上げたエルディア帝国は、巨人の力を使って他民族を弾圧し、1700年にも及ぶ民族浄化を行いました。
反感を買った他国によってエルディア帝国は滅ぼされてしまいましたが、生き残ったユミルの民は「パラディ島」に三重の壁を築いてその内部で暮らすことになります。
エレンたち壁中人類が壁の中で暮らしているのはこのためで、実は壁中人類は巨人というよりも他国の侵攻を恐れて引きこもっていたわけです。
どうして人間が巨人になってしまうのか
巨人の正体が人間だったことが明らかになりましたが、巨人化には一定の条件があります。
条件を満たしていない人間がいきなり巨人化することは絶対にありません。
まず前提として、巨人化する人間はユミルの民でなくてはなりません。
巨人の力は始祖ユミル・フリッツから受け継がれていくものなので、ユミルの民以外の人種は巨人化できません。
マーレ人や東洋人などは巨人化できないということになっています。壁中人類であっても、東洋人の血が濃いミカサなどは巨人化できるかどうか微妙ですね。
そしてもう一つの条件は「巨人化の薬」を投与されることです。
巨人化の薬については未だ謎が多いですが、主成分は巨人化能力者から抽出された脊髄液だとされています。
この薬を注射器で体内に注入されたユミルの民は、ほんの数秒で巨人と化してしまいます。
つまり、ユミルの民が巨人化の薬を投与されることで巨人は生まれているのです。
逆に言えばユミルの民でも薬なしに巨人化することはありませんし、巨人化の薬を投与されてもユミルの民でなければ巨人化しないということになります。
また、巨人になるためには怪我をする必要もあります。エレンが巨人化する時に自分の手を噛みきるのが、わかりやすい例ですね。
作中では巨人化させる人間をわざわざ堤防の上から突き落とすシーンがあるのですが、これも巨人化の薬を打った人間に怪我をさせる狙いがあるとみられます。
どうして怪我が必要になるのかは未だ不明ですが…
致命傷ですら巨人化すると治ってしまうため、巨人化には「自己治癒能力」が関係しているのでは?という考察もあります。
巨人たちが人間を襲うのはどうして?
巨人になってしまった人間は、元の知性や記憶を失ってしまいます。
体を思い通りに動かすこともできなくなり、ほとんど無意識のまま人間を襲う怪物と化します。
つまり巨人は、別に人間を襲いたくて襲っているというわけではないのです。
「人間を探す」「人間を食べる」という巨人の習性に従って動いているだけなので、そこに本人の意思はありません。
このように知性をもたず、ひたすら人間を食べ続けるだけの一般的な巨人を“無垢の巨人“といいます。
さらに言えば、巨人の生命活動に「食事」は不要であるため、巨人たちが人間を捕食するのは生きるためでもありません。
そもそも巨人には消化器官がなく、お腹に入りきらなくなると人間の遺体をすべて吐き出してしまうのがよい証拠です。
本人が望んでいるわけでもなく、食事がしたいわけでもない…
それなのに、どうして巨人は人間を食べるのでしょうか。その答えは作中でもまだ明かされていませんが、その習性には「九つの巨人」と深い関係があると思われます。
“九つの巨人”は、”無垢の巨人”とは違って知性を持つ特殊な巨人です。
この能力を持つ人間は最大で9人しかいないため、”九つの巨人”になるためには”無垢の巨人”が前任者を捕食して能力を奪う必要があります。
つまり目の前の人間を自動的に襲うという巨人の習性は、九つの巨人の継承に役立っているのです。
事実、マーレやレイス家は、この習性を利用して九つの巨人の力を次世代へと引き継いでいますね。
巨人が人間を襲う理由は他にもあるかもしれませんが、能力の継承を円滑に進めるため、というのが理由の一つなのは間違いないでしょう。
巨人を送り込んできている黒幕の正体
巨人は生殖能力をもたないため、勝手に増えるということはありません。
それにもかかわらず、調査兵団がいくら駆逐し続けても巨人が減らなかったのは、新たに巨人を補充し続けた”黒幕”がいるからです。
壁中人類に向けて巨人を放ち続けていたのは、海の向こうに存在する大国・マーレの人々です。
マーレはかつてエルディア帝国を滅ぼした軍事国家で、エルディアから奪った巨人の力と近代的な兵器を有しています。
彼らがパラディ島に巨人を送る目的は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、
壁内のどこかで継承されている“始祖の巨人”を奪い、巨人を完璧にコントロールする力を手に入れること。
世界中で工業技術が発達し、今ある巨人の力だけでは戦争に勝てなくなる時代も近づいていることから、マーレは巨人戦力のさらなる強化を求めているわけです。
2つ目の目的が、
パラディ島に埋蔵されている化石燃料を奪うこと。
エレンたち壁中人類が住んでいるパラディ島には、莫大な化石燃料が埋蔵されている可能性が高いとされています。
マーレの軍事力を支える近代兵器を効率よく運用するため、マーレはこの化石燃料を我が物にしようと考えているのです。
そして3つ目の目的が、
マーレに逆らう人間の粛清。
マーレにはパラディ島に移住しなかったエルディア人の子孫がたくさん残っており、彼らは酷い差別を受けながらもマーレへの忠誠を誓うことで何とか生かされています。
しかしエルディアの復権を求める反乱分子も多いため、少しでも怪しい行動を起こしたエルディア人は巨人化の薬を打たれ、パラディ島に放たれるのです。
まとめると、
マーレは「始祖の巨人」と「化石燃料」を手に入れたがっており、その作戦の一環で「エルディア人の反乱分子」を巨人化して送りこんでいるということになります。
裏切り者を粛清しながら敵に攻撃できると考えれば、マーレにとってはイイコトづくめの作戦だといえるでしょう。
…その作戦を長年続けた結果、調査兵団にたくさんの情報を与え、エルディア人の逆鱗に触れ、手痛い反撃を喰らう羽目になったわけですが。
まとめ
これまで本当に多くの謎に包まれていた”巨人”という存在。
しかしエレンたち調査兵団の活躍により、ようやくその正体や目的について様々なことがわかってきました。
とはいえ、巨人についてはまだまだ不可解なことも多いです。
- 巨人化の薬はどうやって作られているのか、
- 始祖ユミル・フリッツと契約した”大地の悪魔”は何者なのか、
- どうして九つの巨人だけが特別なのか…
まだ明かされていない謎をあげればキリがありません。
しかしマーレ編に入り、作中では次々に新事実が判明していっています。
今のところ考察の域を出ないような謎の答えも、きっとそう遠くない未来に明かされることになるでしょう。
熱い展開が続く進撃の巨人から、今後も目が離せそうにありません!
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